たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【座敷浪人の壺蔵】6/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に、鼬の話を二つ追加しました。
個人的には、鼬は無類にかわいらしい動物(顔も体型も)だと思うんですが、夜行性で、人間の身近に出没するからか、広く妖怪視されてきました。まあ実際、子供のころに実家の鶏が夜ごと襲われて、噛み切られた首だけ転がっていたのを目の当たりにしたときには、なんとも厭な気がしたものです。
国際日本文化研究センターの「怪異・妖怪伝承データベース」で検索すると、次のようにたくさん出てきます。
検索結果(全国:イタチ)

【座敷浪人の壺蔵】6/01更新について

あやしい古典文学の壺〕に二編追加しました。

醍醐の白狼」:松浦静山甲子夜話』によれば、「ハクロウ(白狼)」とは木葉天狗のことで、劫を経た狼がなるものだそうです。木葉天狗は最下級の天狗で、天狗界の雑用係ですが、この話の白狼は狼の姿のままなので、あえて天狗になる道を選ばなかったものかもしれません。

庭に来る黒い獣」:原出典では、あやしい古典no.1575「白蝶怪」と一緒に出ています。奥州二本松の侍を夜ごと苦しめる白い蝶の話と、前橋の侍を夜ごと苦しめる黒い獣の話とが対になっているわけです。

ハルさま:
>庭に来る黒い獣:なにかしら、主人に恨みがあったのかなあ。…
丑の刻参りで藁人形に五寸釘を打ち込むのと同様な行為ですから、たしかに恨みつらみによるものとも考えられます。いっぽうで、理不尽に人に取り付いて苦しめる「病魔」というものをあらわしているようにも思われます。

【座敷浪人の壺蔵】5/21更新について

あやしい古典文学の壺〕に次の二編を追加しました。

爪の間から狐が憑く」:狐に憑かれるヤバさ以前に、爪の下に竹串を差し込む拷問のヤバさを連想して、つらい。

ところてん暴行事件」:集団心理の恐ろしさ。あれよあれよというまに理不尽な暴力に支配されるさまは、昔も今も変わらないんですかね。

【座敷浪人の壺蔵】5/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に次の二編を追加しました。

大蛇 vs.蛸」:大蛸一匹でも手ごわそうです。それが数でまさっていては、まず勝ち目はないでしょう。そもそも大蛇は、なんで海水にしっぽを浸けていたのだろう。魚を釣ろうとしていたのかな。何が食いつくかわからないのに、危ないことだ。

大蛇 vs.鷲」:おお、大蛇! なんてドジな…。

【座敷浪人の壺蔵】5/01更新について

あやしい古典文学の壺〕に二編追加しました。

猫の子育て」:鼠の子を育て始めた母猫を、不気味だと言いながら追い出しもせず(興味深く)眺めていた松尾家に人々に、ちょっと共感を覚えてしまいます。

犬の疫病」:江戸中期には市中に野良犬が多数横行し、それとともに狂犬病が幾度も流行しました。「とはずがたり」が書かれたのは文政年間のようですから、そういう流行の一つでしょうね。

ハルさま:
モグラが大量発生して土中を掻きまわし、それを感じた犬たちが、…
ふだん犬がモグラを恐れるなんてことはない。モグラのほうが犬に襲われっぱなしの生き物なのですが、狂犬病で弱った犬社会に対し、いっせいに反撃に出たのかも。
>動物が異種の動物の子を養育するのは時々ニュースなどで見かけますが、…
この話の猫の場合、わが子を食い殺した上で鼠の子を育てていますから、何かはわからないけど、けっして微笑ましくはない信念にもとづいた、確信犯的な行動と思われます。