たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【座敷浪人の壺蔵】7/21更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。

狐になれ」:稲荷社に祀られる神は「宇賀のみたま」をはじめとする農耕神で、「すくな彦」はちょっと違うような気がしますが、穀物神でもあるので、祀っている稲荷社もあるのかなと思います。

兄妹の密通」:元禄2年1月3日、喜多見重政(若狭守)の従兄弟の喜多見重治が、自宅にて妹婿の朝岡直国を殺害、その罪で重治も斬首という事件が起こりました。その1か月後、喜多見重政は突然、改易処分を受けています。重政は重治の伯父ではないし、重治が妹婿を殺したのは兄妹密通が原因かどうかは分かりませんが、そういう事件があったのは確かです。

ハルさま:
>神霊の弟子:その後どうなったのかしら。
平田篤胤の死後、養子の平田銕胤が寅吉の消息について語ったところでは、浅草観音堂前に現れてから40年後の万延元年時点で寅吉は存命し、千葉県の香取神宮にほど近い土地で、医者をやっていたようです。暮らしぶりは「大抵普通之俗」と。

【座敷浪人の壺蔵】7/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。

女相撲」:江戸時代、女相撲は人気の興行の一つで、べつに悪趣味なキワモノの類ではなかったようです。このこと一つとっても、「土俵に女は上げない」といった禁制は、歴史的に根拠のないものと言えます。

投機家」:大阪には「堂島米市場」というのがあって、庶民層も一攫千金のロマンを追ってさかんに取引したとのことです。白庵や七兵衛以外にも、いろんな変わり者がいたことでしょう。

【座敷浪人の壺蔵】7/01更新について

あやしい古典文学の壺〕に二編追加しました。

屋根屋の横死」:江戸時代、いわゆる「斬り捨て御免」なんて考え方は、実際にはなかったらしいですが、いつの時代にも短気な人、乱暴な人、残忍な人はいるので、無礼討ちまがいの暴力沙汰はあったわけです。それにしても、近所の屋敷内に無造作に死骸を捨てたというのは呆れます。

神霊の弟子」:「下谷に住む医者で学者の平田玄端」とは、平田篤胤の別名です。つまり、神霊の弟子を自称する少年は、篤胤の代表作『仙境異聞』の寅吉ということになります。

【座敷浪人の壺蔵】6/21更新について

あやしい古典文学の壺〕に二編を追加しました。

生前葬」:今の時代、葬儀社の提供プランにも生前葬があったりします。自分の葬儀で賑々しく騒いでもいいと思います。私は葬儀そのものが嫌いなので、絶対やりませんが…

ただ者ではない」:陰陽師なんかの系譜に連なる公家の子が、放蕩して勘当され、江戸に流れてきたのかも。祭の浴衣を欲しがるところはかわいい。

ハルさま:
>逆に、人ならぬものが公家を装って戯れに事件を起こしたと考える方が面白い…
さらに逆に、新宿村で事件を起こした風来坊は本物の公家で、旅費は貰ったけど京都に帰らず、京都で家を相続したのは公家に化けた人ならぬものと考えることも…。
>うちの裏庭にはハクビシンが来る…
ハクビシンなんて、昔はいなかったのにねえ。作物を荒らすばかりでなく、猫の一家がつけ狙われて全滅したなんて話も聞きますよ。

【座敷浪人の壺蔵】6/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に、鼬の話を二つ追加しました。
個人的には、鼬は無類にかわいらしい動物(顔も体型も)だと思うんですが、夜行性で、人間の身近に出没するからか、広く妖怪視されてきました。まあ実際、子供のころに実家の鶏が夜ごと襲われて、噛み切られた首だけ転がっていたのを目の当たりにしたときには、なんとも厭な気がしたものです。
国際日本文化研究センターの「怪異・妖怪伝承データベース」で検索すると、次のようにたくさん出てきます。
検索結果(全国:イタチ)