たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【座敷浪人の壺蔵】8/21更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。

「母と女房を殺した男」:願を破って酒を飲んだぐらいでこれほどの罰が当たったら、たまりませんね。でも願掛けなんて、しないに越したことはないとも思うのです。酒断ちなら自分次第だし、できなくても罰は当たりませんから。

「新妻狂暴」:死霊のユニークな暴れっぷりが、なんだか痛快な気もします。気の毒な新妻なんですが、それはそれとして…。

【座敷浪人の壺蔵】8/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。
苦潮」:これは海底付近に形成された酸素が極端に少ない水塊(貧酸素水塊)が海面に上がってきたもので、淡青色をしていることが多く、「青潮」とも呼ばれます。飲んだら即死するような強毒ではありませんが、魚介類は大量死します。
雹害」:記録によれば大正七年、熊谷で直径30センチ、重さ3.4キロの雹が降ったそうですから、この話の雹もありうるサイズです。当たったらまず死にますな。
ハルさま:
>油揚げの原料は稲じゃなく大豆だ!
その油揚げを供える理由ですが、狐が害獣の鼠を捕ってくれるというので、もともとは鼠の油揚げを供えたらしいんですね。まあでも、なぜ鼠そのままでなく油で揚げたのかは分かりません。

【座敷浪人の壺蔵】8/01更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。
稲田姫を祭る祠」:この祠とは、茨城県笠間市の稲田神社のことだと思われます。ヤマタノオロチに食われる寸前だった少女時代の稲田姫を思うと、巨竜を鎮めるにはかなり頼りないのですが、櫛に変身してスサノオとともにオロチと戦ったことで、相応に強くなったのでしょう。
労咳の薬」:本文にある猿江の慈眼寺は、のちに巣鴨に移転して、今もそこにあります。比翼塚は浦里・時次郎の墓ということで、同寺の境内にあるようです。墓石が労咳の薬とされたわけは何でしょうか。心中の片割れが肺結核だったというわけでもなし、もしそうだったとしても、かえって薬にはならない。いつの時代も、根も葉もないことを言い出す人や、それを真に受けて言い広める人はいるもので…。

【座敷浪人の壺蔵】7/21更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。

狐になれ」:稲荷社に祀られる神は「宇賀のみたま」をはじめとする農耕神で、「すくな彦」はちょっと違うような気がしますが、穀物神でもあるので、祀っている稲荷社もあるのかなと思います。

兄妹の密通」:元禄2年1月3日、喜多見重政(若狭守)の従兄弟の喜多見重治が、自宅にて妹婿の朝岡直国を殺害、その罪で重治も斬首という事件が起こりました。その1か月後、喜多見重政は突然、改易処分を受けています。重政は重治の伯父ではないし、重治が妹婿を殺したのは兄妹密通が原因かどうかは分かりませんが、そういう事件があったのは確かです。

ハルさま:
>神霊の弟子:その後どうなったのかしら。
平田篤胤の死後、養子の平田銕胤が寅吉の消息について語ったところでは、浅草観音堂前に現れてから40年後の万延元年時点で寅吉は存命し、千葉県の香取神宮にほど近い土地で、医者をやっていたようです。暮らしぶりは「大抵普通之俗」と。

【座敷浪人の壺蔵】7/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。

女相撲」:江戸時代、女相撲は人気の興行の一つで、べつに悪趣味なキワモノの類ではなかったようです。このこと一つとっても、「土俵に女は上げない」といった禁制は、歴史的に根拠のないものと言えます。

投機家」:大阪には「堂島米市場」というのがあって、庶民層も一攫千金のロマンを追ってさかんに取引したとのことです。白庵や七兵衛以外にも、いろんな変わり者がいたことでしょう。