たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【座敷浪人の壺蔵】9/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に次の2編を追加しました。

「古酒」:漆状の酒(?)を飲む勇気はありませんね。Rakutenには、200年以上昔のナポレオン時代に蒸留されたというコニャックが、330万円くらいで出ています。でも古い酒をありがたがる気持ちはよくわからないし、美味かどうかも、飲んだことがないからわかりません。

「酒塊」:あやしい古典の世界では「酒虫」という有名な寄生虫がいて、宿主に際限のない飲酒欲を催させるのですが、見方を変えると、宿主の飲む酒を横取りして全部飲んでしまう虫で、だから宿主は際限なく酒が飲めるとも考えられます。この話の「酒塊」は、そうした虫が飲みすぎて悪酔いし、吐き出されてしまったのでしょうか。

ハルさま:
>どちらもハクチョウにはあまり似てないかな? 
あんな腰高のハクチョウはいません。
>鳳五郎のネーミングセンスが好き。
vogel→鳳五郎。なんだか嬉しくなるネーミングですね。

【座敷浪人の壺蔵】9/01更新について

あやしい古典文学の壺〕に次の2編を追加しました。

「一足鳥」:神瀬の岩戸は「神瀬石灰洞窟」として国の名勝に指定されている所です。JR九州の最寄り駅は肥薩線一勝地駅。「一足鳥」とはイワツバメのことらしいんですが、日本に広く分布しているし、写真で見る限り二足であって、どうしてこの文章のように語られたか不明です。

「鳳五郎」:鳳五郎はダチョウの異名とされますが、「頬とくちばしは黒く脚先が鶏に似て…」というあたり、『食鑑』の鳥はダチョウというよりエミューではないかと思われます。

【座敷浪人の壺蔵】8/21更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。

「母と女房を殺した男」:願を破って酒を飲んだぐらいでこれほどの罰が当たったら、たまりませんね。でも願掛けなんて、しないに越したことはないとも思うのです。酒断ちなら自分次第だし、できなくても罰は当たりませんから。

「新妻狂暴」:死霊のユニークな暴れっぷりが、なんだか痛快な気もします。気の毒な新妻なんですが、それはそれとして…。

【座敷浪人の壺蔵】8/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。
苦潮」:これは海底付近に形成された酸素が極端に少ない水塊(貧酸素水塊)が海面に上がってきたもので、淡青色をしていることが多く、「青潮」とも呼ばれます。飲んだら即死するような強毒ではありませんが、魚介類は大量死します。
雹害」:記録によれば大正七年、熊谷で直径30センチ、重さ3.4キロの雹が降ったそうですから、この話の雹もありうるサイズです。当たったらまず死にますな。
ハルさま:
>油揚げの原料は稲じゃなく大豆だ!
その油揚げを供える理由ですが、狐が害獣の鼠を捕ってくれるというので、もともとは鼠の油揚げを供えたらしいんですね。まあでも、なぜ鼠そのままでなく油で揚げたのかは分かりません。

【座敷浪人の壺蔵】8/01更新について

あやしい古典文学の壺〕に2編追加しました。
稲田姫を祭る祠」:この祠とは、茨城県笠間市の稲田神社のことだと思われます。ヤマタノオロチに食われる寸前だった少女時代の稲田姫を思うと、巨竜を鎮めるにはかなり頼りないのですが、櫛に変身してスサノオとともにオロチと戦ったことで、相応に強くなったのでしょう。
労咳の薬」:本文にある猿江の慈眼寺は、のちに巣鴨に移転して、今もそこにあります。比翼塚は浦里・時次郎の墓ということで、同寺の境内にあるようです。墓石が労咳の薬とされたわけは何でしょうか。心中の片割れが肺結核だったというわけでもなし、もしそうだったとしても、かえって薬にはならない。いつの時代も、根も葉もないことを言い出す人や、それを真に受けて言い広める人はいるもので…。