たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【座敷浪人の壺蔵】更新について

〔あやしい古典文学の壺〕に4編を追加しました。

10/11「よく食う化け物」:最初は色仕掛けだったのに、途中から食い気いっぽうになったのが笑えます。
「許真の結婚」:結婚相手が狐であろうとそうでなかろうと、人生はこんなものじゃないのかな。許真は誠実に生きていると思います。

10/21「切腹男」:爪の間から狐が入ったとか言って、皮肉を割いて引っ張り出した人の話があります。この場合、狐はいなかったのか、いちはやく逃げられたのか。
「白昼の妖怪」:家じゅう総出で狐を喰うというのは、意表を突く気合のこもった反撃だと思います。この路線で畳みかけて攻めれば妖怪を追い払えたのではないか。惜しいことをしました。

ハルさま:
>大きい亀って、何か深いことを考えていそうでちょっと不気味。
考えの深い大亀は、中国の奇談なんかによく出てきます。甲羅をまとった姿に惑わされているような気もしますね。甲羅がない姿形を想像するに、あまり哲学的とは言えない。不気味は、いちだんと不気味ですが…。

【座敷浪人の壺蔵】更新について

あやしい古典文学の壺〕に4編を追加しました。

09/21「火傷に小便」:〈虫刺されに小便〉などと同様、治療法が心許なかった時代には、こういうのが信じられるのは無理ありません。もっとも現代でも、飲尿健康法のたぐいが行われておりますが…。
「人を殺す亀」:亀は河童の原型とされるものの一つです。この話の亀が「肛門を破る」のも、尻子玉を奪う河童の行動に等しいですね。

10/01「耳の下の疵」「近江から来た生霊」:生霊二題。たとえば怨みを抱いて祟るといっても、死んだ後の死霊の祟りでは今さら感があるのに対して、生霊は現世で勝負なだけ達成感があるかも。それはおくとしても、現に生きている生身の人と離脱した遊魂との二重性は、怪異譚として味わい深いところです。

幻妖なぞ語り

Amazon Kindle 本として、電子ブック『怪の壺 幻妖なぞ語り』を出版しました。

『怪の壺 妖異童話集』から1年半ぶりの出版になります。
怪異談はそもそも謎の要素を多分に含みますが、その中でも謎めいた幻想味の漂うものや読み終えても不思議が晴れないものを選んでみました。書籍化するにあたり、あらためて文面を推敲し、読みやすく手を加えたつもりです。
詳しくは 下記をご参照ください。

 

【座敷浪人の壺蔵】9/11更新について

あやしい古典文学の壺〕に次の2編を追加しました。

「古酒」:漆状の酒(?)を飲む勇気はありませんね。Rakutenには、200年以上昔のナポレオン時代に蒸留されたというコニャックが、330万円くらいで出ています。でも古い酒をありがたがる気持ちはよくわからないし、美味かどうかも、飲んだことがないからわかりません。

「酒塊」:あやしい古典の世界では「酒虫」という有名な寄生虫がいて、宿主に際限のない飲酒欲を催させるのですが、見方を変えると、宿主の飲む酒を横取りして全部飲んでしまう虫で、だから宿主は際限なく酒が飲めるとも考えられます。この話の「酒塊」は、そうした虫が飲みすぎて悪酔いし、吐き出されてしまったのでしょうか。

ハルさま:
>どちらもハクチョウにはあまり似てないかな? 
あんな腰高のハクチョウはいません。
>鳳五郎のネーミングセンスが好き。
vogel→鳳五郎。なんだか嬉しくなるネーミングですね。

【座敷浪人の壺蔵】9/01更新について

あやしい古典文学の壺〕に次の2編を追加しました。

「一足鳥」:神瀬の岩戸は「神瀬石灰洞窟」として国の名勝に指定されている所です。JR九州の最寄り駅は肥薩線一勝地駅。「一足鳥」とはイワツバメのことらしいんですが、日本に広く分布しているし、写真で見る限り二足であって、どうしてこの文章のように語られたか不明です。

「鳳五郎」:鳳五郎はダチョウの異名とされますが、「頬とくちばしは黒く脚先が鶏に似て…」というあたり、『食鑑』の鳥はダチョウというよりエミューではないかと思われます。