たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【あやしい古典文学の壺】11/21日付の更新について

以下の二編を追加しました。

「赤飯好きの池」:池に棲む神霊に供物として赤飯をそなえる習俗の話。池のありかはかくせん村と二面村の間とあります。かくせん村は分かりませんが、二面村というのはかつて実際にあって、今のあわら温泉のあたりです。

「赤飯を食わせろ」:赤飯を要求するあたり、狐の仕業を匂わしています。稲荷の狐には油揚げや赤飯が供えられるようですが、油揚げのほうは狐釣りの餌に油で揚げた鼠を用いるとの話さえあるので、好物かなと納得できるとして、赤飯はなんででしょうか…。でもまあ、化ける狐なら好きそうな気がなんとなくしますね。
ちなみに杉浦日向子『百物語』の最終話では、杢兵衛という狐が若旦那に化けて奉公人の女を誑かします。そんな若旦那の口元に赤飯の粒が付いていたりします。また、女と小豆餡のぼた餅を仲良く分け合って食べ、口のまわりについた餡を舐め合うシーンがあります。

ハルさま:
静岡県御前崎にも、赤飯を詰めたお櫃を池に沈めて竜神に供える「お櫃納め」という行事があります。
池の底で斬られて大出血した木切れのようなものは、池の主ではなく、せいぜいが竜神の眷属だったのか。いや、とりたてて竜神の報復もなかったことから考えると、竜神とは無関係なただの無害な生き物だったにちがいない。気の毒だ…。