たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【座敷浪人の壺蔵】更新について

〔あやしい古典文学の壺〕に7編追加しました。

8/21「烏頭村の化け物」:愛知県岡崎市内に、宇頭町(かつては「宇頭村」)というところがあります。烏頭村とはおそらくそこのことでしょう。こんなふうに旅路で疫神に遭遇する話は少なくありません。
「板垣三郎の高名」:板垣氏といえば武田信玄の傅役だった板垣信方が有名ですが、そのずっと先祖に「板垣三郎兼信」という鎌倉時代初期の武将がいます。駿河で地頭をつとめたりしていますから、いちおうこの人がモデルのようなものでしょう。

9/02「烏賊」「蛸力」:どちらも脚が多く墨を吐く海の生き物だけれど、日本では蛸が頻繁に奇談のネタになるのに対して、烏賊はほとんど出てきません。超巨大ダイオウイカが暴れる物語など、あってほしいと思います。

9/11「山鳥の火」:手塚治虫火の鳥』のモデルと言われたりするヤマドリ。オスは全体に赤く、特に頭部が鮮やかな赤なので、火を発しているように見えるかもしれません。
「食火鶏」:じつは本物のヒクイドリを見たことがないのです。ぜひ見に行きたい。

9/21「猪鼻山の天狗」:まず「甲州猪鼻山」というのは存在しません。また、近江の土豪だった蒲生貞秀が、はるか遠方の甲斐に陣を張るのも無理がある。蒲生氏の本拠地あたりに「猪ノ鼻ヶ岳」という山があるので、「江州猪鼻山」のつもりだったとも考えられますが、そもそも作者は地名など適当に設定したのではないかと思います。話は、魔所に挑んで手ひどく報復されるという、先の「板垣三郎の高名」と似たような展開です。ただ、かなりドタバタするのが面白く、飽きさせないですね。

ハルさま:
>海の近くに住んでいる方に聞いた話では、…
あの抜群の視力、飛行の正確さ、すごいですよね。しかも羽を広げると驚くほど大きい。鳥は鳩程度でも、羽を広げて飛び向かってくると、ちょっと怯みます。
>火のついた枝を意図的に運んで草むらなどに落とし、火事を起こして、…
危ないやつらだなあ。そういえば日本でも、大火のときに鳥が空に群れて火勢を煽ったという話があるような。

matBBさま:
>かつてマオリ人はモアというダチョウに類似した鳥に、…
マオリニュージーランドのモアを全滅させたという話は聞き知っていますが、これは知らなかった。本当なら、なんかムゴイですね。

仁恵さま:
『老媼茶話』は江戸時代中期の書で、出版されることなく写本のみが残り、明治時代になってその翻刻が出版されました。今手に入れやすい翻刻本は、国書刊行会の叢書江戸文庫「近世奇談集成(1)」に収録されたものです。大きい公共図書館大学図書館などにありますし、なんなら書店で注文して買うこともできます。あくまで崩し字で書かれた写本を見たいということなら、早稲田大学図書館の古典籍総合データベースなどでWEB公開されています。ネットで検索してみてください。