たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【あやしい古典文学の壺】09/11更新について

次の二編を追加しました。

「うわばみの血」:「千疋狼」という類型の怪談の一つで、「鍛冶が嬶」とか「小池婆」などが知られますが、この話では狼が千頭出てくるわけではなく、うわばみ一匹です。そのうわばみが斬られたところから始まるのが、ユニークな気がします。

「蛇僧」:人が時として愛執に取りつかれるのは、逃れがたいことです。その執念が肥大してモンスターと化すのを、必死に抑制するしかありません。しかしモンスターは周慶を殺し、恩貞の命をも奪ってしまいました。
守誾はいかにも気の毒です…。だいたい、なんでこんなときは決まって蛇なのか。ウサギやリスなら、目を潰されたりしなかったろうに。

ハルさま:
>独りよがりな恋愛をして相手に迷惑をかけてしまう人は、現代にも脈々と存在し続けているようですが。
うまくいく場合ばかりではないので、迷惑をかけたりかけられたりは、ある程度仕方がない気もします。しかし、執念の怪物と化すのはまるで別のことですね。
>これは、奥さんがうわばみに変じたのか、それとも、…
「鍛冶が嬶」とか「小池婆」では、化け物が嬶や婆を食い殺して、なり替わっています。しかしこの話を考えるに、「与八郎の妻はもともとうわばみであった」というのがしっくりするのではないかと…。