たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【あやしい古典文学の壺】09/21更新について

次の二編を追加しました。

「松雲寺の小僧」:小僧は走水観音の上空で捨てられて以降、自力で日本橋まで辿り着いて住職に再会しますが、これも天狗(?)の誘導によるのではないかと考えられます。小僧の衣類を寺の裏山に捨てたり、いろんなことをするやつです。
なお、「上総国望陀郡請西(じょうざい)」というのは聞いたことがあるような気がして、調べてみたら江戸末期、請西藩の所在地でした。最後の藩主 林忠崇は、戊辰戦争の際、藩主でありながら脱藩して旧幕府軍に加わり、東北各地を転戦した人です。

「韮の園」:韮粥なんて旨いのか?と思ったら、「疲れた体にニラ粥」とかいって、血行促進・冷え性の改善・疲労回復などの薬効が語られておりました。長谷川某氏は、命がけで採ってきた韮を、食べることができたのだろうか。

ハルさま:
>途中まで供をさせておいて、置き去りにしてしまうのはどうかと思います。
松雲寺の所在地とされる請西は現在の木更津市内なので、小僧が住職と同道した木更津まで、さして遠くないと考えられます。小僧は見送り役だったのでしょう。
>これほどまでに韮の粥が食べたいと思った時点から、もう、死という定めに抗えなかったのかも…
まあ、そういうことになりますね。