〔あやしい古典文学の壺〕に二編追加しました。
「醍醐の白狼」:松浦静山『甲子夜話』によれば、「ハクロウ(白狼)」とは木葉天狗のことで、劫を経た狼がなるものだそうです。木葉天狗は最下級の天狗で、天狗界の雑用係ですが、この話の白狼は狼の姿のままなので、あえて天狗になる道を選ばなかったものかもしれません。
「庭に来る黒い獣」:原出典では、あやしい古典no.1575「白蝶怪」と一緒に出ています。奥州二本松の侍を夜ごと苦しめる白い蝶の話と、前橋の侍を夜ごと苦しめる黒い獣の話とが対になっているわけです。
ハルさま:
>庭に来る黒い獣:なにかしら、主人に恨みがあったのかなあ。…
丑の刻参りで藁人形に五寸釘を打ち込むのと同様な行為ですから、たしかに恨みつらみによるものとも考えられます。いっぽうで、理不尽に人に取り付いて苦しめる「病魔」というものをあらわしているようにも思われます。