たそがれ壺記

古典の森に棲み暮らし、奇談・怪談を語る偏人のブログです。

【あやしい古典文学の壺】01/11日付の更新について

以下の二編を追加しました。

「房総の狐」:狐に送ってもらって有り難いかどうか、微妙なところ。まあ憎めない話ではあります。

「十万坪の狐」:「十万坪」は1723年から埋め立てが行われた土地ですが、1791年に台風による高潮で深川洲崎十万坪一帯に大被害が出て、以来、周辺の家屋建設が禁止されたそうです。その一方で潮干狩りの名所でもあり、釣り人も多く足を踏み入れたと思われます。なるほど、狐が活躍しそうな場所ですね。

ハルさま:
>江戸の埋め立て地というのは海の近くという事でしょうか。…
広重の『名所江戸百景』中、奇抜な構図で知られる「深川洲崎十万坪」、鷲の見下ろすあの景色そのままだったんじゃないかという気がします。

【あやしい古典文学の壺】01/01日付の更新について

以下の二編を追加しました。

「屋根裏の卵」「よその門松」:縁起担ぎに意味はありませんが、縁起がよさそうなどと言って得体の知れない卵を食べてしまうような人がいないと、「あやしい古典文学」も成り立ちません。縁起が悪いとか非常識だとか、目くじらを立てる人ばかりだとつまらないと思います。

ハルさま:
またまた本年もよろしくお願いいたします。
>門松や鳥の卵が無かったとしても、この程度の幸や不幸は起き、亡くなる人は亡くなったのではと思います。
まったくもって同感です。

 

【あやしい古典文学の壺】12/21日付の更新について

以下の2編を追加しました。

「火ともし鳥」:山鳥は夜分、火をともして山林を飛ぶとされます。この火ともし鳥も同類と思われます。火が徐々に大きくなったのは、監禁のストレスによるものでしょう。逃げ出せてよかった。
なお、火災に飛び込んで燃えさしを咥え、あちこちに付け火して回るという迷惑な鳥の話もあったような気がします。

「水乞鳥」:なんだか身につまされるような生態の鳥です。

今年の更新はこれでおしまい。来年もよろしく。

ハルさま:
いつもコメントをいただき、ありがとうございます。励まされます。来年は少し新しいことも手がけてみるつもりです。大したことではありませんが…。

【あやしい古典文学の壺】12/11日付の更新について

以下の2編を追加しました。

「藁人形」:大田南畝『半日閑話』にも出てくる話で、『日本随筆大成』所収のそれでは「神田藍染川の怪犬」と小見出しがついています。べつに犬が怪しいわけではないんですがね。岡本綺堂『半七捕物帳』でも使われていたはず。

「川の怪物」:昔は、狂気したり事情に迫られたり、なんとなくそんな気になったりして山に入り、山男とか山女とか、なにかの怪物とみなされる人が少なくなかったのかもしれません。本人からすれば「好きにさせてくれ」というところでしょうが、ちらちら姿が見え隠れすれば、気にせずにおれないのも分かります。